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しゅうとめとよめについて

与謝野晶子評論集

与謝野 晶子

線上閱讀与謝野 晶子《与謝野晶子評論集(しゅうとめとよめについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,148 字 · 31 頁

青空文庫

それは猛烈なヒステリイの発作であった。姑は微かなかすり疵を負って逃げ出した。こうして意外な悲劇が突発し、嫁が姑を刺したという稀有な故殺未遂犯が成り立った。

ヒステリイは今日までの所、多数の婦人の或時期(月経時、妊娠時、分娩後、子宮病時)や或境遇(久しい間の独身、異常な災厄)に伴う共通の発作症である。それに強烈なのと微弱なのとあり、また遺伝から来るのと特発するのとあるが、それが或事を誘因として遽かに迫って来る時には、人は意識の統一を失って自分で自分が制し切れなくなるものである。私は自身に精神病者の血を引いているし、父が卒中で斃れたほどの大酒家であったので、自然に病的な素質を持っていて、或時期に往往はげしいヒステリイに襲われることがあるから、その若い妻が逆上して刃物を投げ附けたという心理を十分に想像することが出来るのである。投げた物が偶ま刃物であったために大それた刃傷沙汰になったが、ヒステリイの不可抗力に襲われたその時の気分は、何でもいいから手当り次第に投げ散して鬱積した心の蒸汽を狂的に洩さずにはいられないのである。そしてその不可抗力に襲われて無茶苦茶なことをしてしまった後の甚しい悔恨と不快さはこれを経験しない人に到底理解の出来そうにないことである。