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せいきの「ふんべつ」
世紀の「分別」
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《世紀の「分別」(せいきの「ふんべつ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,391 字 · 7 頁
社会生活の現実で、「知らしむべからず・よらしむべきもの」としてあつかわれた人民そのものの無権利状態に、すべての人々がつきおとされたのであった。が、主観的な教養に育ってきたおびただしい理性は、各人のその屈辱的立場を自分にとって納得させやすくするために、暴力に屈して屈しない知性の高貴性や、内在的自我の評価或はシニシズムにすがって、現実の市民的態度では、いちように「大人気ない抵抗」を放棄した。そのとき、大人気ないという日本の表現が、主として徳川時代の武士と町人の身分関係を、無権利だった町人の側から表現した言葉だということについては、吟味されなかった。
あのころ、大人気ない行動をしなかった知性から、大人気ないものとして一種の嫌悪感で見られていたのが、一握りの左翼の人々の考えかたであり、行動であった。侵略的な戦争強行に抵抗して、現実にそれを阻止する力もないのに、ひとりよがりでじたばたするから、つかまったり、いじめられたりするのだ、と思われる傾きがあった。治安維持法はなるほど野蛮だが、その野蛮な法律がある以上、それにひっかかることをするなら、その野蛮さを身に蒙るのはしかたもあるまい。