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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
線上閱讀酒井 嘉七《両面競牡丹(ふたおもてくらべぼたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,317 字 · 25 頁
※(歌記号、1-3-28)春雨に、しっぽり濡れる、鶯の……。
と、うたい始めたのでございました。が、お稽古にかかりますとすぐに、
「もう、今日はこれで結構でございます」
と、頭をお下げになったのでございます。私は、初めのうちで遠慮なされている事と存じまして、
「どうか、ご遠慮なく、ごゆるりと、お稽古なさいます様に……」
と、申しましたが、
「いいえ、今日はこれで結構でございます。別に、急ぐお稽古でもございませんし、ぜひ憶えねばならぬ訳でもございません、これから、遊び半分に、ゆっくりと、お稽古させて頂きたいと存じます」
と、かように申されたのでございました。そして言葉を改め、
「これは、ほんの少しでございますが、おひざ付きに、そして、これは御連中さまへのお近づきの印に、皆様で一杯お上がり下さいます様に……」
と、紙の包みを二つ出されたのでございました。私は、おひざ付き、と申された紙包みは、有難く頂いたのでございますが、も一つの方は、
「連中さんと申しましても、実は、お子供衆ばかりでございますから、皆様に一杯さし上げる訳にも参りませぬ」
と微笑みながら、ご辞退いたしますと、この方も、お上品に、お笑いになりまして、