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なかみとけいしき

中味と形式

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《中味と形式(なかみとけいしき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,539 字 · 31 頁

青空文庫

三十度の角度をなしているとか、六十度の角度をなしているとか云えば極めて明暸でそれより以外に説明する事も質問する事も何にもないのであります。それをこの二面がいつでも偶然平らに並行でもしているかのごとき了見で、全体どっちが高いのですと聞かなければ承知ができないのは痛み入ります。人間と人間、事件と事件が衝突したり、捲き合ったり、ぐるぐる回転したりする時その優劣上下が明かに分るような性質程度で、その成行が比較さえできればいい訳だが、惜しい哉この比較をするだけの材料、比較をするだけの頭、纏めるだけの根気がないために、すなわち門外漢であるがために、どうしても角度を知ることができないために、上下とか優劣とか持ち合せの定規で間に合せたくなるのは今申す通り門外漢の通弊でありますが、私の見るところでは豈独り門外漢のみならんやで、専門の学者もまたそう威張れた義理でもないような概括をして平気でいるのだから驚かれるのです。

学者と云うものは、いろいろの事実を集めて法則を作ったり概括を致します。あるいは何主義とか号してその主義を一纏めに致します。これは科学にあっても哲学にあっても必要の事であり、また便宜な事で誰しもそれに異存のあるはずはございません。