輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なかみとけいしき

中味と形式

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《中味と形式(なかみとけいしき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,539 字 · 31 頁

青空文庫

今考えるとほとんどその時に見た堺の記憶と云うものはありませんが、何でも妙国寺と云うお寺へ行って蘇鉄を探したように覚えております。それからその御寺の傍に小刀や庖丁を売る店があって記念のためちょっとした刃物をそこで求めたようにも覚えています。それから海岸へ行ったら大きな料理店があったようにも記憶しています。その料理店の名はたしか一力とか云いました。すべてがぼんやりして思い出すとまるで夢のようであります。その夢のような堺へ今日図らずも来て再び昔の町を車に揺られながら通ってみると非常に広いような心持がする。停車場からこの会場までの道程も大分ある。こう申しては失礼であるが昔見た時はごくケチな所であったかのようにしか、頭に映じないのであります。それで車の上で感服したような驚いたような顔をして、きょろきょろ見廻して来ると所々の辻々に講演の看板と云いますか、広告と云いますか、夏目漱石君などと云うような名前が墨黒々と書いて壁に貼りつけてある。何だか雲右衛門か何かが興行のため乗り込んだようである。社の方から云えばあの方がよいのでしょうが、夏目漱石氏から云えばああ曝しものになるのはあまりありがたくない。