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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第八巻(『ケプロン・くろだのこうそう』について)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 頁

青空文庫

それをそのまま鵜呑みにして、貧窮のどん底に落ちた日本へ適用しよう、というのであるから、困難の度は、初めから推して知るべきであった。

しかし敗戦直後の日本としては、現在もそうであるが、とくに当時の話としては、国民更生の道は、その目標を教育におくより外に望みがなかった。朝鮮、満洲、台湾、樺太、千島によって、辛うじて生きていた国が、その全部を失ったあとでは、頼るものは国民の能力だけである。すなわち教育が、将来の日本を考える場合には、最大の課題であった。ところで戦前の日本の教育は、その普及度においても、また学力の程度においても、世界の一流国に比して、そうひけはとらなかった。しかしその教育には、何か謬ったところがあった。常識では考え得られないあの無謀な戦争に、国を挙げて突入したのは、軍閥がどうのこうのということももちろんあるが、その根元には、教育の欠陥があった、と認むべきであろう。そういう意味でも、敗戦後の教育問題は、なんらかの根本的変革を必要としたのである。

そういうところへ、アメリカから、現在の六三制が輸入されてきた。押しつけられたともいい、また英語がよく通じなかったために、単なる示唆を、こっちから進んで受け入れたともいわれているが、そういうことは、どっちでもよい。