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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁
貴様、読心の術を心得おると見えるな」
「へっへ。御冗談。そんなシチ難しいこたあ知りませんがね。どうしたもんでごわしょう、この件は」
「サ、それだ。どうしたものであろうな」
と相談しあっているうちに、打てばひびく、たたけば応ずる鼓の異名をとっているだけに、いささか小才のきく与吉、どう捏ねまわして何を思いついたものか、二こと三ことささやくと、左膳はたちまち与吉の進言をいれて、隻眼によろこびの色をうかべながら会心の小膝を打った。
いずれ事成ったのちに相応の賞を与えようと誓ったのであろうが、ふたりはなおも密談数刻ののち、とうとう議一つに決してただちに実行に着手したのだった。
これは、あの大岡越前守忠相が浅草の歳の市にあらわれて、栄三郎へあてた左膳の書面を手に入れた数日前のこと……つまり、まだ年のあらたまらないうちであった。
で、そのつづみの与の公一代の悪智恵というのは、こうである。
さて、つづみの与吉の策略によって――左膳は即座に筆を執って、あの、栄三郎に宛てた一札を認めたのだった。
その文言は、彼の五人組に秘刀乾雲を奪い去られて、いま手もとにないこと。
そして、こうして自分が乾雲丸を所持していない以上は、もはや栄三郎とも仇敵同士に別れてねらいあう意味のないこと。