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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《久生十蘭短篇選(ぼしぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,344 字 · 96 頁
受けていた。泰文はこういう機微をのみこんでいるので、そのとき五位ノ侍従だった基道の筋に途方もない金を撒いて流罪赦免の運動をした。清盛は些細な罪で有能な官吏を流罪するなどは当をえた政治と思えないと妙な理窟をこねだし、基道を突ついてしつっこく法皇にせっつかせた。気の弱い法皇はうるさいのでまいってしまい、いいなりに赦免状を出したので、ろくろく敦賀の景色も見ないうちに京へ呼びかえされることになった。泰文は外道頭そっくりの異形な真額に冠をのせ、逢坂あたりまで出迎えた、鉢叩き、傀儡師、素麺売などという連中に直衣を着せ、なんと形容のしようもない異様な行列をしたがえて入洛すると、馬を早乗りにして白川の邸へ馳せ戻った。
誰が告口したのか、伜どもが連書して法皇に不届きな願をしたことを耳にしていたらしく、すごい形相で式台に上ると、長い渡廊から廊ノ間、対ノ屋の広間と、邸じゅうを駆けまわって伜どもを探したが、国吉と泰博は下司の知らせで、逸早く邸から逃げだしたので、きわどい瀬戸で助かった。
二人はまた食うあてがなくなり、以前よりいっそうみじめな境涯に堕落して、安衆房の散所で人にいえぬようななりわいをしてかすかに命をつないでいたが、国吉はその冬、馬宿と喧嘩して殺され、泰博は翌年の春、応天門の外でこれも何者かに斬られて死に、二男と三男