輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《二つの庭(ふたつのにわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 頁
「それゃよかった。企画としたって、あれだけ揃えるなら、そういうものも一冊はあるべきですよ」
素子は、ちらりと皮肉な笑顔をして、木下にウェストミンスタアをさし出しながら、
「でも木下さん、大丈夫ですか、あなたの一人合点で。――殿様はそうおっしゃいましたそうですが、と、あとから御用人が出るんじゃないんですか」
「相かわらず辛辣だなあ。――そんなことはない。大丈夫です。必ずひきうけました」
数年前、アメリカへ行ってしまっている村田壽子と素子は、昔、親しいつきあいがあった。素子が村田壽子の作品を選んで決定することになり、伸子は自分で、一番はじめに発表した小説と、最近単行本になりかかっている長篇とを入れることにきめた。
「それぐらい具体的になっていれば結構だ。じゃ、ひとつ楢崎さんの方へは、直接社から話させますから」
木下が去ったあとしばらく、伸子は、焦点のちったような視線を、テーブルの上に出ている灰皿の上におとしていた。
「ぶこちゃん! しっかりしてくれよ」
「だって、あんまり思いがけなくて……」
「ものがまとまるときってものは、こういうもんさ。だが、よかったね」
旅費のことで伸子はあんなに途方にくれ、思案にあまっていた。