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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《二十世紀鉄仮面(しつらくえんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,489 字 · 77 頁
真積氏は、まず自分より適任であろうといって、失楽園専任の助手杏丸医学士を電話で招き、そうした後に、こんな意外な言葉を口にしたのである。
「僕が坐魚礁(失楽園の所在地)に、一度も足を踏み込んだ事がないといったら、君はさだめし不審に思うだろう。けれども、それが微塵も偽りのない実相なので、事実河竹に杏丸という二人の助手以外には、この私でさえも入ることを許されていなかったのだ。つまりあの一廓は、院長が作った絶対不侵の秘密境だったのだよ」
「所で、殺されたのは?」
「助手の河竹医学士だ。これは明白な他殺だそうだが、妙なことには、同時に院長も異様な急死を遂げている。とにかく、斯んな田舎警察にも、万代不朽の調書を残してやってくれ給え」
その時、三十恰好のずんぐりした男が入って来ると、真積氏は、その男を杏丸医学士といって紹介した。
杏丸は、まるで浮腫でもあるような、泥色の黄ばんだ皮膚をしていて、見るからに沈欝な人相だった。然し法水は、まず現場検証以前に、失楽園の本体と三人の不思議な生活を杏丸の口から聴くことが出来た。
「院長が、坐魚礁の上に失楽園の建物を建設してから、今月で恰度満三年になりますが、その間完全屍蝋の研究が秘密に行われておりました。