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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
線上閱讀壺井 栄《二十四の瞳(にじゅうしのひとみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 頁
「わたしン家なあ先生、こないだ頼母子講をおとして、大きい船を買うたん。だから、倹約せんならんの。こんぴらまいりは、じぶんで金もうけするようになってから、いくことにきめた」
それで他人のふところも遠慮なくのぞきこんで、人のことはいうなといっても平気でいう。ミサ子が行かないのはよくばりだからだの、コトエや早苗はきょうだいが多くて、旅行どころでなかろうとかと。
ところが前々日になると、旅行志望者はきゅうにふえて、岬ではマスノをのけてみんながゆくということになった。
そのきっかけは、だまりやの吉次が、山出しをしてもうけた貯金をおろして申しこみをしたことにあるようだった。吉次がゆけば、どうしたってだまっていられないのがソンキであった。磯吉は、じぶんも豆腐や油あげを売り歩いてもらった歩金を貯金していたのだ。ソンキさえも行くとなると、どうしたって正や竹一がやめるわけにはゆかない。正も網ひきで、もうけた貯金を思いだすし、竹一も卵を売ってためた金でゆくといいだした。倹約な岬の村の子どもらは、こんなことで貯金をおろすことを思いつかなかったのだ。正など、おろさなくてもよいといわれながら、どうしてもおろすのだといって、竹一といっしょにわざわざ郵便局へいったりした。