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はたちのエチュード

二十歳のエチュード

原口 統三

線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁

青空文庫

*11

そのころ、僕は大連にいた。清岡さんは、 Po※(グレーブアクセント付きE小文字)mes Barbares を勉強していたし、僕は僕でこっそり、サン・シモンとマルクスを読んでいた。

彼の家からの帰途、彼は頭上を指さして意地悪そうにこう語った。

――かつて満天の星くずを眺めて、あれが残らず金貨だったらなあ、と考えた男がいるそうだ。――俗悪なレアリストの夢とは何といやなものだろう!

*12

今朝、小屋の寝床で見た夢の一幕。

荒寥とした高原の、涯しない崖縁を、僕らは、どこへ行くとも知らず、とぼとぼと歩いていた。

その時、清岡さんがこう言った。

「もう幾年になるだろう」

それは僕にもわからなかった。そうして、地上に躍る僕のみすぼらしい影法師は、昔ながらの道化者であった。

いつのまにか、遠くにアカシヤの並樹が匂い、山の形が寛城子のロシア寺院に変わっていた。

径があった。風が吹いて、朝露が舞い、風が吹いて、野原は一面の海となり、そうしてその風は、黄金の波のしぶきを僕らのほうにやさしく送っては、忍びやかに通り過ぎた。

僕らの歩いてゆく先々で、名もしらぬ花々が、悪戯っ子らしく袖をひいてお辞儀した。