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はたちのエチュード

二十歳のエチュード

原口 統三

線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁

青空文庫

それゆえに過去の完全な認識によってわれわれは現在を完全に知ることができる。

――精神は嘘偽によって磨かれる。それゆえに嘘偽を完全に身につければ、精神は完全な光輝を発する」

悪魔の語法はいつでも同じだ。

「それゆえに」はまっぴらだ。それは次の「それゆえに」を生むだろう。僕にはもう接続詞の用はない。僕の文章はばらばらの断片だ。

正確な連鎖はけっしてありえない。

僕が詩人だった時は、いかに離れ合ったイマァジュといえども、見事につなぎ合わせてみせたものだ。

――人間・過去・精神。所詮は定義上の問題に落ちつくのだろうが、僕はいかなる定義をも抹殺する。

――偶像の頭には「完全」という奇怪な護符が貼りつけてある。

――必然性は時間の中よりもむしろ空間にある。怠惰な悪魔は必然性の網を展りひろげて、われわれの動きを止めようとする。

*142

通用させるためには、また、より正確であるためにはわれわれは責任回避のための狡智の眼を加えて、精神の忠実な狩猟の獲物でさえ、「試み」として「一実験」として片づけてしまわねばならぬということ。そしてある場合には己のまじめな思想でさえ、一つの歴史的発展の帰結として、環境の相対性の一分子として、巧みなテクニックの操作の下に、これらの衣裳を着せて描いて見せねば提出できない、ということ。