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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁
「よろしい、障碍物を置いてみることだ」とヴァレリイが答えた。
「僕にとっての障害とは、虚栄・怯懦・許容……。そして、これらの障害を乗り切ることが僕の生活だった」
「どうして乗り切らねばならなかったのだ」
「君にはわかっているではないか。僕の精神の肉体の冷たさが、これらの物の生温さを排斥したというのだ」
「つまり恐れたというわけだね」とこの時、ニーチェが来て口を出した。「僕なら、それを抱いてやるよ。僕の肉体はますます温くなるのだ。灼熱するまでにすべてのものを嚥みこむのだ。その上で僕は出発する」
「なかなか、うまい言い方だね」とヴァレリイが言った。「それでは君を出発させるものは何なのだ」
「何物かが僕を鞭うつから」
「曖昧な言い方はよしたまえ」
「僕の中にたえず動いているものだ。とにかく僕は出発する」
「どちらに向かって」
「超人を目指して」
「偶像というわけだね。僕は君の偶像を軽蔑しまい、しかし、曖昧な言い方はよしてくれ」
「曖昧ではないはずじゃないか。人類はこれを目標として進むのだ」
「そこまで言ったら、夢だ、幻影だ、と言われても仕方あるまい。では、超人に向かって進まないものがあるとすれば、君はどう思う」