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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁
もし、その上を歩むなら、君の精神の自由とはどこにあるのだ。
予言は所詮、予言にすぎない。
そしてまた、君もキリスト教徒と同じく、救済という『予定』を振りかざす、一宗教家にすぎない。予定には必ず許容がある」
「そして、それは正確ではない、ということだ」とヴァレリイが言った。
僕はつづけた。
「いったい『安心』というやつが怪物だ。ニーチェよ、君の文献学者としての過去の眼は、そこから未来への予定を汲みとっている。君の朦朧とした必然性は未来をも包んでいる。ここには真に厳しい『ねばならぬ』はないのだ。与えられた道を行くことは、『束縛』があると共に『責任回避の安心』から来る緊張の弛みがある。これは奴隷の歩行にすぎない。
真の支配者は常に、自己の全領土の代表者としての威厳と緊張した顔貌をもって、自由な行動をとるであろう」
「暴君の末路は常に断頭台だ」とニーチェは揶揄した。
「結構だ」と僕が答えた。「賤民の群れに身を落としめることを肯んじまい。断頭台を恐れるのは、予定に屈服することだ。常に高貴な生まれと、教養とを備えて僕の精神の肉体は礼節ある行動の道を行くんだ」
ニーチェが言った。