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はたちのエチュード

二十歳のエチュード

原口 統三

線上閱讀原口 統三《二十歳のエチュード(はたちのエチュード)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 61,578 字 · 125 頁

青空文庫

*21

二種類の孤独について。

窓の内側に住む孤独と、窓の外側に立つ孤独と。

むかし、僕の幼い魂は、終日、窓ガラスに頬を寄せて蒼空を眺め、未知の天地に恋い焦れていた。

そして、自分を孤独だと歎いたものだ。僕の詩人は、すでにこの時に生誕していたのだ。

けれども、僕に帰ってゆく家がなくなってから、僕は行きずりの家々の窓の中に、かつての「空想児」の姿を見つけては、彼らの平和な一日を祝福して歩くようになった。

そして僕は、これこそほんとうの孤独だと、思った。

*22

窓のある所に孤独がある。今日、僕は己を孤独だと言うまい。

僕はもう「見る者」ではなくなったのだ――窓を捨ててしまったから。

ところで、これこそ真の孤独ではないだろうか。

僕はやがて死ぬ男だ。

*23

僕にはお母さんのお乳が足らなかったのか。お母さんの愛情が甘過ぎたのは。

*24

批評とは、他人の中に自己のシルエットを見いだすことにほかならない、というサント・ブーヴの言葉。

しかし批評することは、どこまで行っても自己を許すことである。つまり自己自身を批判する最も厳しい眼をもつことは、生きている間は不可能である。