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ごかいのまど

五階の窓

森下 雨村

線上閱讀森下 雨村《五階の窓(ごかいのまど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,990 字 · 26 頁

青空文庫

桜田門をくぐって、宮城前の広場を彼は前よりはいくらか歩調を早めて、馬場先門の仮庁舎まで歩いていった。そして、長い廊下を強力犯係の部屋の前まで行って、ドアに手をかけようとすると、

「沖田くんじゃないか!」

と、後ろから呼びかける声がした。振り向くと、隣の係長室から出てきたのであろう、制服姿の小西が酒太りのした赤い顔をタオルで拭きながら、ばかに元気な様子で近づいてきた。

「相変わらず忙しそうだね」

「うん、忙しい忙しい。どうもやりきれんよ。朝っぱらからの大活動で、いま贓品を持ってきたところだ。まあ入りたまえ。ちょうどいい、これから一服やろうというところなんだ」

「掏摸かい?」

「うん、磯貝金の乾児だ。この前、挙げたときはまだ年齢が足らんで放してやったんだが、それがいつの間にか一人前になってね――ほら、このとおりだ」

小西警部はドアを開けると、入口の右側のデスクの上に、いっぱい積んだ贓品の山を指した。

時計がある。折皮の鞄がある。女持ちの装身具や手提げがある。それがみな、相当に金目のものばかりだ。

「箱師かい、往来かい?」

「どっちもやるが、まあ、駅のほうだね。近ごろは、そこらのビルディングもだいぶ荒らしてたようだよ」