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きょうかのこむすめどうじょうじ

京鹿子娘道成寺

酒井 嘉七

線上閱讀酒井 嘉七《京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,841 字 · 49 頁

青空文庫

ぬ傲慢さが、随時に現われまして、踊りの手を、自分勝手におかえになるほどのことは、常時でございまして、時としては、今日の見物は気に食わぬ――というような、自我な理由で、勝手に所作を中途で切り上げ、道成寺でございますれば、白拍子の鐘入りもせずに、長唄、お囃子連中の呆気にとられた目なざしを尻目に、幕にされたようなことも、度々あったのでございます。

半四郎師匠の踊りは、いつもと同じような調子で経過いたしました。ご機嫌も、いつもの通り、別に、よくも、悪くもございませんでした。しかし、私は、これを不思議に考えているので御座いますが、踊りが初まりまして、しばらくすると、師匠の様子が変って来たことでございました。何と申したらよいでございましょう――いわば、怨霊にでも取りつかれた人のような様子がございました。舞の合間あいまに、上を見たり、横を見たり、なさいまして、額には、たしかに、脂汗がにじんでおりました。顔色もすっかり、蒼白になりまして、ともすれば、三味線と離ればなれにもなりそうで御座いました。しかし、さすがに、踊りにかけては名人と申すのでございましょうか、そうしたことも、巧みに、手振り、足ふみに紛らわされ、お気づきになった方は、一座の内、座方の中にも、幾人もございますまい。