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じんぞうにんげんエフし
人造人間エフ氏
海野 十三
線上閱讀海野 十三《人造人間エフ氏(じんぞうにんげんエフし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 頁
「うふふふ、これはすごいことになったぞ。三センチもある鉄板が、ボール紙を水につけたようにとけてしまった。とてもおそろしい力だ」
「おい邪魔だ。おじいさん、あっちへどいてくれ。水がかかるよ」
「なあに、水をかけることはないよ。もう火はおさまっている。戦車がとけて、鉄の塊になっただけでおさまったよ。はははは」
老紳士は、声たからかに笑って、消防士においたてられて立ちさった。その老人紳士は誰あろう、ウラル丸でさかんにさわいでいた老人だった。自分の全財産をつんだウラル丸が沈没するというので、船長にくってかかったあの老人であった。
戦車どろどろ事件は、その筋をたいへんおどろかしもし、困らせもした。大事の分捕品が形がなくなったことも大困りだが、なぜどろどろにとけくずれたか、そのわけがわからないのだ。番人たちは、憲兵隊の手できびしくしらべられた。だが彼等も、本当のことはなに一つ知っていなかった。狐に化かされたようだというのが、そのしらべのしめくくりであった。まさかあのかわいい少年少女が、おそろしい犯人だと、気がついた者はない。それから二日おくれて、正太少年は、ひとりさびしく汽車にゆられて東京についた。