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にんげんしっかく

人間失格

太宰 治

線上閱讀太宰 治《人間失格(にんげんしっかく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,014 字 · 141 頁

青空文庫

ました。

「よう! 色魔。おや? これでも、いくらか分別くさい顔になりやがった。きょうは、高円寺女史からのお使者なんだがね」

と言いかけて、急に声をひそめ、お勝手でお茶の仕度をしているヨシ子のほうを顎でしゃくって、大丈夫かい? とたずねますので、

「かまわない。何を言ってもいい」

と自分は落ちついて答えました。

じっさい、ヨシ子は、信頼の天才と言いたいくらい、京橋のバアのマダムとの間はもとより、自分が鎌倉で起した事件を知らせてやっても、ツネ子との間を疑わず、それは自分が嘘がうまいからというわけでは無く、時には、あからさまな言い方をする事さえあったのに、ヨシ子には、それがみな冗談としか聞きとれぬ様子でした。

「相変らず、しょっていやがる。なに、たいした事じゃないがね、たまには、高円寺のほうへも遊びに来てくれっていう御伝言さ」

忘れかけると、怪鳥が羽ばたいてやって来て、記憶の傷口をその嘴で突き破ります。たちまち過去の恥と罪の記憶が、ありありと眼前に展開せられ、わあっと叫びたいほどの恐怖で、坐っておられなくなるのです。

「飲もうか」

と自分。

「よし」

と堀木。