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にんげんせい・せいじ・ぶんがく(いち)
人間性・政治・文学(1)
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《人間性・政治・文学(1)(にんげんせい・せいじ・ぶんがく(いち))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,581 字 · 20 頁
いまの文学のゆがみそのものを、その一文の中でアクロバット風に表現しているにすぎないことを痛ましいと思う。一人の作家伊藤整がいたましいというような高飛車な感想ではなく、日本よ! こういうもの云いのある一九五〇年の日本よ。小説を書くかかないにかかわりなくそこに生きているわたしたちみんなよ! と痛ましいのである。
近代的な小説の成立という問題を、わかりやすく、しかし情熱をもって、わたしどもの生きているきょうのこころに引きつけて吟味しようとする意欲は、抑えがたい。こんにち、「明らかに盲目と無力という言葉が日本の作家に冠せられても仕方がない」にしろ、「日本の芸術の基本的方法はイデエの根をもたぬ感覚によるのだから、近代風なイデエの操作と実作とは歯車が合わないのだ」(同上)という、現状解明の場にとどまりかねる思いがある。「巨大な冷酷な秩序のヒダにはさまれてもがく虫のような存在として自己を意識し」て、そこに伊藤整の人間及び文学者としての存在感が定着しきれるものならば、どうして彼自身、きわめて具体的なファイティング・スピリットをもって「チャタレー夫人の恋人」の告発状の中には、検察当局がその作品をちゃんとよんでいない節があることを公表するだろう。