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あだうちきんしれい
仇討禁止令
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《仇討禁止令(あだうちきんしれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,238 字 · 35 頁
軽くても無期徒刑、重ければ斬罪じゃ」
が、万之助は、毅然としていった。
「復讐の志を立ててからは、一命は亡きものと心得ております。曽我の五郎十郎も、復讐と同時に命を捨てました。兄弟としては、必ず本望であったでござりましょう。たとい朝廷から御禁令があっても、私はやります。きっとやります。命が惜しいのは敵を討つまでで、敵を討ってしまえば、命などはちっとも惜しくはございません」と、いった。
新一郎が、突然喀血したのは、それから間もなくであった。蒲柳の質である彼は、いつの間にか肺を侵されていたのである。
お八重の驚きと悲しみ、それに続く献身的な看護は、新一郎の心を決して明るくはしなかった。新一郎の病気は、だんだん悪くなっていった。その年の七月頃には、不治であることが宣告された。
新一郎が病床で割腹自殺したのは、八月一日であった。
数通の遺書があった。万之助に宛てたのは、次の通りである。
万之助殿
御身の父の仇は、我なり。最初、御身の父を刺せしは我なり。止めは幸田なり。吉川、山田などは、当時一切手を下さず。彼らを仇と狙いて、御身の一生を誤ること勿れ。至嘱至嘱。