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こんにちのぶんがくのてんぼう
今日の文学の展望
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の展望(こんにちのぶんがくのてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,109 字 · 83 頁
「知識階級は飽くまで知識階級として」自己の性能を発揮するこそヒューマニズムであるとする論に、議論としては異議を認めなかった小市民知識人の大部分も、実際生活では自分たちのうけた知識人としての教養によって日々一定の時間に出勤し、或は労働し、同僚・上役との接触に揉まれ、技術上の問題、技術上の自己の創意性とそれを阻む諸事情を経験しつつある。かかる知識人の知識人である所以は、単に技術だけを一定の時間売っている機械ではなくて、重役になる希望はない一サラリーマンとして、かかる現実に即しつつ、そこで何を生甲斐として見出し、自分もまがうかたなき人間の一人であるという尊厳をとり戻して行けるかという煩悶の故にこそ、彼の知識人的存在の面がヒューマニズムの問題へもとりついて行くのである。ところが、ヒューマニズムを紹介した人々は「知識階級」というものを最初に抽象してしまい、益々それは「主観の高揚」や「理論への情熱」という方向へ発展させられて行ってしまっているのであるから、そのように論じ、執筆することそのことが既に職場であり職業である者以外の大多数の人々にとっては、自分たちの間では謂わばヒューマニズム論を論ずるに止り、自分たちの境遇の実際で主観を高揚させ、理論への情熱を高めようとしても、具体的解決のありようなさが一層身にしみて来るという