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こんにちのぶんがくのしょそう

今日の文学の諸相

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の諸相(こんにちのぶんがくのしょそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,522 字 · 17 頁

青空文庫

ところがこの十二月は、夏から始まった挙国的な動きが社会の全面を震蕩させている最中で、文学についてかりに云うとすれば、それは猛烈に動いているとしか云えまいと思う。動くということは常に必ずしも前進だけを意味するのではない。そういう常識にも立ってみれば、本質上は後退だってもさまざまに動きを示している姿はあり得る。そんな動きをもこめて、とにかく動いているのである。

二十五年前の第一欧州戦争を、日本の一般社会は間接に小局限でしか経験しなかったから、今日の文学が経る波瀾は、極めて日本的な諸条件のうちで、しかも世界史的に高度で、経験が重大であるというばかりでなく、謂わばその重大さが初めてであるということから来る歴史的な独特の日本としての混乱もあるのである。

『新潮』十二月号には数人の作家たちが問いに答えて「転換期における作家の覚悟」という文章を書いている。それぞれにその作家の今日の心持が語られているわけなのだが、作家としての特徴を生かすことを語っている徳永直氏の文章が具体的で、わかりよかった。

ほかのあれこれも読んでいるうちに、今日作家が書くこの種の文章に、一つの特色の現れていることに注意をひかれた。