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こんにちのにほんのぶんかもんだい
今日の日本の文化問題
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の日本の文化問題(こんにちのにほんのぶんかもんだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 頁
こんにち一般に日本人の生活を描いた戯曲が上演されることを熱望しているのに、戯曲がそれほど不足しているのは何故であろうか。歌舞伎や新派は自分たちの座つき作者をもっている。戯曲家として大舞台の上演にふさわしい作品を書く人は、従来少なかった。最近死去した真山青果のほか、中村吉蔵、参議院議員となった山本有三などのほかには、若い戯曲家は、主として小劇場の舞台のために書いていた。小劇場は殆ど焼失した。同時にこれらの戯曲家の生活をこめて社会事情は急に変化した。にわかに複雑になった社会現象は、これらの戯曲家の創作を困難にしている。雰囲気をおもんじ、比較的テーマの社会性の弱い戯曲を書いていた人々は、現在の荒っぽい現実を彼らの小規模でみがきのかかった過去の技術の中にもりきれずにいるといえる。
新劇の流れの中に成長した戯曲家は、まだ彼らの過去の業績をしのぐような作品を送り出していない。意力的な構成力をもっている久保栄の「火山灰地」は新劇レパートリー中の古典であるが、一九四七年に上演された同じ作家の「林檎園日記」は、「火山灰地」に及ばないものとしてみられた。
東京自立劇団協議会に組織されている東京附近の三五劇団は、上演創作劇四三の中、二〇ちかく勤労者自身の手になる戯曲を上演している。