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さっかのぞう
作家の像
線上閱讀太宰 治《作家の像(さっかのぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,508 字 · 8 頁
ここは何とかして、愚色を装い、
「本日は晴天なり、れいの散歩など試みしに、紅梅、早も咲きたり、天地有情、春あやまたず再来す」
の調子で、とぼけ切らなければならぬ、とも思うのだが、私は甚だ不器用で、うまく感情を蓋い隠すことが出来ないたちなのである。うれしい事が在ると、つい、にこにこしてしまう。つまらない失敗をすると、どうしても、浮かぬ顔つきになってしまう。とぼける事が、至難なのである。こう書いた。
「誰もそれを認めてくれなくても、自分ひとりでは、一流の道を歩こうと努めているわけである。だから毎日、要らない苦労を、たいへんしなければならぬわけである。自分でも、ばかばかしいと思うことがある。ひとりで赤面していることもある。
ちっとも流行しないが、自分では、相当のもののつもりで出処進退、つつしみつつしみ言動している。大事のまえの小事には、戒心の要がある。つまらぬ事で蹉跌してはならぬ。常住坐臥に不愉快なことがあったとしても、腹をさすって、笑っていなければならぬ。いまに傑作を書く男ではないか、などと、もっともらしい口調で、間抜けた感慨を述べている。頭が、悪いのではないかと思う。