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さっかのけいけん
作家の経験
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《作家の経験(さっかのけいけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 頁
プロレタリア文学の運動がはじまったころ、文学の純粋性を固守し「花園を荒すものは誰ぞ」と書いた中村武羅夫や、文学の芸術性は独自のものだと社会性ときりはなして主張した菊池寛が、戦争の間は先に立って、その花園に戦車を案内し、その芸術性を、戦争宣伝性におきかえた。これらのことは、深い教訓を示している。
こういうあらましのいきさつを経て、今日のわたしたちは、民主の日本を建設するという課題に当面しているのである。日本の社会がその半封建性とたたかう必然は、もう今日では万人の目にはっきり見えてきている。文学の領域でもそれは当然明瞭なわけなのだが、十数年前にプロレタリア文学としての運動があったから、今日民主主義の文学というと、後退したような感じを与える。文学の前線が時によって出たり引っこんだりしているようにも思われる。しかし、それはけっしてそうではない。日本のわたしたちは、今こそ、よかれあしかれ日本の社会機構の現実の基盤とぴったり結合した文化・文学の理論をもって、発展的に動きだせる時に来ている。社会科学、政治的活動、労働運動の全線が、今日は日本のいつの時代にあったよりも正常な関係をもって市民生活の中に立ちあらわれてきている。