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しゅんかん

俊寛

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《俊寛(しゅんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,263 字 · 33 頁

青空文庫

少将や康頼はおれより先に、もう船の側へ駈けつけていたが、この喜びようも一通りではない。現にあの琉球人なぞは、二人とも毒蛇に噛まれた揚句、気が狂ったのかと思うたくらいじゃ。その内に六波羅から使に立った、丹左衛門尉基安は、少将に赦免の教書を渡した。が、少将の読むのを聞けば、おれの名前がはいっていない。おれだけは赦免にならぬのじゃ。――そう思ったおれの心の中には、わずか一弾指の間じゃが、いろいろの事が浮んで来た。姫や若の顔、女房の罵る声、京極の屋形の庭の景色、天竺の早利即利兄弟、震旦の一行阿闍梨、本朝の実方の朝臣、――とても一々数えてはいられぬ。ただ今でも可笑しいのは、その中にふと車を引いた、赤牛の尻が見えた事じゃ。しかしおれは一心に、騒がぬ容子をつくっていた。勿論少将や康頼は、気の毒そうにおれを慰めたり、俊寛も一しょに乗せてくれいと、使にも頼んだりしていたようじゃ。が、赦免の下らぬものは、何をどうしても、船へは乗れぬ。おれは不動心を振い起しながら、何故おれ一人赦免に洩れたか、その訳をいろいろ考えて見た。高平太はおれを憎んでいる。――それも確かには違いない。