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ぞくしゅう
俗臭
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《俗臭(ぞくしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,630 字 · 70 頁
一年前今程良い話といえなかったが、それでも政江の虚栄心を満足さすに足る縁談があった。大阪商工会議員の長男といえば、少くとも大阪で一流だ、とその時政江はすっかり逆上してしまったのだ。それだけに、このたびの彼女の慎重さは注目に価するものがある。あるいは、余りの話の良さに、あらかじめ破談を怖れてのことかと想像された。この前の縁談が破談になった時、誰彼にもいい触らしていたゞけに、随分面目ない想いをした筈なのだ。苦い経験が彼女を慎重にしたのだろう。――それに違いは無かった。が、さすがの彼女も一人位は聴き役が必要であった。女中のお春がさしずめこの役にあずかった。よって、総てはお春の口からもれたのだ。お春の話を聞いた時、人々は即座に、某伯爵家はいわゆる貧乏華族で、千満子の持参金は五万円乃至十万円だと、決めてしまった。また、この縁談は成立しないだろうと、簡単に予言した。前のはなしの破談になった原因が原因だからというのである。その当座、いろ/\と臆測されたが、就中政江の義弟たちは、政江がもと助産婦をしていたことが忌避されたのだと取沙汰した。その妻たち、即ち、政江の義妹たちは之をきいて非常に喜んだ。