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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《偸盗(ちゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,934 字 · 97 頁

青空文庫

、もれるらしい。

枕もとには、縁の欠けた土器がたった一つ(底に飯粒がへばりついているところを見ると、元は粥でも入れたものであろう。)捨てたように置いてあって、たれがしたいたずらか、その中に五つ六つ、泥だらけの石ころが行儀よく積んである。しかも、そのまん中に、花も葉もひからびた、合歓を一枝立てたのは、おおかた高坏へ添える色紙の、心葉をまねたものであろう。

それを見ると、気丈な猪熊のばばも、さすがに顔をしかめて、あとへさがった。そうして、その刹那に、突然さっきの蛇の死骸を思い浮かべた。

「なんだえ。これは。疫病にかかっている人じゃないか。」

「そうさ。とてもいけないというので、どこかこの近所の家で、捨てたのだろう。これじゃ、どこでも持てあつかうよ。」

次郎はまた、白い齒を見せて、微笑した。

「それを、お前さんはまた、なんだって、見てなんぞいるのさ。」

「なに、今ここを通りかかったら、野ら犬が二三匹、いい餌食を見つけた気で、食いそうにしていたから、石をぶつけて、追い払ってやったところさ。わたしが来なかったら、今ごろはもう、腕の一つも食われてしまったかもしれない。