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ぼくがかわいがるから

僕がかわいがるから

小川 未明

線上閱讀小川 未明《僕がかわいがるから(ぼくがかわいがるから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,056 字 · 5 頁

青空文庫

それに、はとは卵を生むからよけいいいのです。

「お母さん、僕、考えてみていい?」と、正ちゃんは、いいました。

「ああ、よく考えてごらんなさいね。私も、二輪車に、ミットに、伝書ばとですから、考えてみなければなりません。」と、いって、お母さんは、笑っていらっしゃいました。

正ちゃんは、草の上に横になって、大空をながめながら、

「はとと二輪車にしようかなあ、しかし、クロがかわいそうだし……。」と、いって、考え込んでいました。そして、考えに疲れて、そのまま目を閉じて、じっとしていると、自分を探しにきたクロが、ハッ、ハッと、息を切って、頭のところへ走ってきたけはいがしました。

「こうして、死んだふりをしていよう。」と、正ちゃんは、思いました。

クロは、正ちゃんの頭をかぎました。つぎに顔をなめました。正ちゃんは、おかしくて、しようがなかったけれど、我慢をしているとクロは、なんと思ったか、――ほんとうに死んだと思ったのか、急に悲しそうな声を出して、ほえはじめました。そして、また正ちゃんの顔をなめ、起こそうと着物をくわえて引っ張ったのです。正ちゃんは、はね起きました。

「クロ! 僕は、こんなにやさしいおまえを捨てようなどと思って悪かった! 堪忍しておくれ、もう、いつまでもかわいがって、どこへもやらないから。