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げんろくじゅうさんねん

元禄十三年

林 不忘

線上閱讀林 不忘《元禄十三年(げんろくじゅうさんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,586 字 · 42 頁

青空文庫

」

吉良が、痩せた膝を座蒲団にならべると、女も、そのうしろに引きそうように、すわった。

用談を持ってきた客には、吉良は、気が短かった。

「お役目のことといえば、御主人出雲殿の饗応お添役についてでしょうが、どういう――。」

すぐ、吉良からきりだした。

用人の左右田孫三郎が、縁の障子の根に、ななめに顔を見せていた。

「申し上げます。ただ今、立花様より、家老へ白銀十枚――。」

「これは、これは。そうたびたび、恐縮ですな。」

吉良は、礼のための礼のように、冷淡をよそおっても、出雲守へ好意を示したいこころが、声に滲んでいた。

「お役上、何か御不審でも――。」

「は。御饗応にさし上げますお料理のことでございます。」

「その料理を――。」

「当日は、清らかなお席、生臭を断って精進精物でございましょうか。」

「いや、精物というは、潔きものという意です。堂上方が、初春慶賀のため御下向なさる。たとえ精進日であっても、江戸お着の当日は必ず御精進はいたされません。魚類は結構、と申すより、魚類でなければなりません。」

「ありがとうございました。じつは、お精進ものであると申すものと、いや、魚類だという者と、二派に別れまして――そのため、たしかなことを承りに上りましたようなわけで。