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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
線上閱讀岸田 国士《光は影を(ひかりはかげを)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 頁
万事、間接の話では見当がつけかねるという結論に達したので、その旨、簡単に百瀬にあてゝ返事を認めた。
すると、折り返し――では、直接その娘を差し向けるから、本人の意向をよくたしかめて、適当な忠告をしてやつてくれ。もし、君の眼鏡で、全く見込みがないと思つたら、十分その非をさとらせた上で、田舎へ追い返すよう、くれぐれも配慮を頼む、というような、のつぴきならぬ交渉をして来た。
そして、その手紙を追いかけるように、百瀬しのぶが、彼の家の玄関に、もう、田舎出の小娘とは見えぬキリヽとした姿で、立つていた。それは、京野等志がまだ食卓をはなれずにいる朝のひと時であつた。
妹の多津が取次ぎに出て、百瀬秀人の紹介で来た若い女のひとだという。紹介状の封のわきに「百瀬しのぶ持参」と書いてあつた。
「二階へ通してくれ。それから、あとで、多津もちよつと話を聴いてやつてくれよ。百瀬から手紙で頼まれていたんだ」
まだ家のものにはなにも話してないので、京野等志は、一同の物好きな視線に応えるように、そう言いながら、急いで茶を飲み干した。
「はじめまして……わたし、百瀬秀人の姪のしのぶでございます」