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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
線上閱讀倉田 百三《光り合ういのち(ひかりあういのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 頁
私は少し得意になって、やれるだけの技を演じていた。が疲れて止めて、ふと見るとベンチに赤ん坊を抱いて子守りしている少女は、いつか見た巫女であった。服装のまるで違った彼女は、女学生じみていたが、それでもミスチックな顔をしていた。富士額で、刻んだような美しい鼻を持ち、背丈が高く、鹿を連想させた。
私は咽喉がしきりに乾くので、境内の井戸から釣瓶で汲みあげて、口飲みに飲もうとした。
「あら、その水は飲めませんよ」
と少女は言った。
「そうですか。構いません。飲んじゃいましょう」
「お待ちなさいな。あたりますから。水あげますわ」
彼女は小走りに、自分の家の裏口に行ったので、私もついて行くと、茶碗に水を入れて持って出てくれた。
「ありがとう」
とぐっと飲んで、茶碗を返しながら、ふと開いた門から中を見ると、いつかの神主が装束下らしい着物をきて庭を掃いていた。庭は広いが荒れていた。咄嗟に私はあまり裕福ではないのだなと子供心に感じた。
私はベンチに引き返した。もう冬近いのだが汗でシャツはびっしょりしていた。
「鈴子、これ、こんなに茸を沢山とって来たよ」
と籠を持って、得意そうに寄って来たのは二十歳位の青年であった。