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じどうのかいほうようご

児童の解放擁護

小川 未明

線上閱讀小川 未明《児童の解放擁護(じどうのかいほうようご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,633 字 · 4 頁

青空文庫

ただ馬車や、人力車が交通するにすぎなかった。だから、歩行するのに、さまで神経を労しなかった。一里や二里位の路を往復することは、なんでもなかった。しかし、これがために、今日、近距離を行くにさへ、乗物を利用するのを目して、贅沢になり、惰弱になったと一概に言うことはできぬのである。なぜならば、これだけ、交通が危険のために、歩るくことに対して、少しの愉快をも感ぜず却って、恐怖を感じ、神経を過分に浪費するからである。

大人でさえ、そうであれば、児童達が、一層、これに神経を働かせるのも察せられよう。彼等は、常に、戸外に生活しているともいえるのだ。そして、これ等の小さき者達は与へられたる、境遇について、不平を言い、抗議することを知らない。いつも受動的であり、どんなとこにでも甘んじなければならぬ。それを考うる時、四六時中警笛におびやかされ、塵埃を呼吸しつゝある彼等に対して、涙なきを得ないのである。

彼等にせめて、一日のうち、もしくは、一週間のうち幾何かの間を、全く、交通危険に晒らされることから解放して、自由に跳躍し遊戯せしむることを得せしめるのは、たゞそれだけで意義のあることではないか。