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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁

青空文庫

では助かろうというものだ。どっちみち縦穴を上るより、横穴を辿った方が安全らしい」

そこで彼は手探りで、横穴を奥の方へ辿って行った。

思った通りその横穴は、深く奥へ続いていた。一間行っても、二間行っても突きあたろうとはしなかった。天井は低く横も狭く、非常に窮屈な穴ではあったが、空気もそれほど濁ってはいず、水なども落ちては来なかった。

やがて五間行き十間行き、半町あまりも辿って行ったが、依然横穴は続いていた。

少しずつ、葉之助は不安になった。

「いったいどこまで続くのだろう?」彼は立ち止まって考え込んだ。しかし後へ戻ることは、かえって危険のように思われた。やはり進むより仕方なかった。

一〇

で、彼は進んで行った。一町あまりも行った頃であったが、彼は何かに躓いた。そこで手探りに探ってみた。どうやら石の階段らしい。

「いよいよ戸外へ出られるかな」こう思うと彼は嬉しかった。一つ一つ石段を上って行った。二十段近くも上った頃、木の扉へぶつかった。

「人家へ続いているのだな」意外に思わざるを得なかった。

彼は扉を押してみた。すると案外にもすぐ開いた。はたしてそこは人の家であった。