輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁

青空文庫

しかも多勢の足音である。それはどうやら犬らしい。甘えるような泣き声がクーン、クーンと聞こえて来た。

「おや来たんだよ、お爺さん達が」

呟きながら山吹はまただるそうに立ち上がると入口の戸を開けてやった。その戸口からはいって来たのは五匹の凄じい狼であった。全身、雪で白かったが鼻面ばかりは赤かった。生血に塗れているのである。

権九郎の死骸を食い荒らしたその五匹の狼達であった。

しかも一匹の狼は肉の着いた骨をくわえていた。それは権九郎の骨なのである。しかしもちろん山吹はそんなことは夢にも知らない。で、彼女はこう云った。

「おおおお、お前達も寒かろう。さあさあ遠慮なく火にあたるがいいよ」

二〇

五匹の狼は尾を振りながら彼女の体へじゃれついた。すぐに突き飛ばされ意気地なくよろめいたが、一緒に小屋の片隅へ集まりそこへ穏しく跪座った。そうしてそこから焚火越しに山吹の顔を見守った。一人の女と五匹の狼。――それが一つの部屋にいる。……何んと恐ろしいことではないか。ところがちっとも恐ろしくない。それは山吹が窩人だからで、窩人と獣とは親類なのである。

熊も狼も狐狸も山吹にとっては友達であった。