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ふたたびかがくてきせいしんについて

再び科学的精神について

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《再び科学的精神について(ふたたびかがくてきせいしんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,742 字 · 23 頁

青空文庫

――ただそれを社会的に支えるものは、社会支配者層の観念上の必要だけであって、教学という観念が「国家」という観念を離れては一刻も生存出来ないらしいことは、意味深長なことだ。以て又、この精神の文化時局的な用途の無理からぬ点を理解し得よう。

教学的精神が最も旺盛なのは、勿論のこと現代の日本に於てである。日本を今日あらしめたものが併し必ずしもこの教学的精神でなかったということは、教学の先輩である支那の後れた事情を見れば明らかだ。して見るとこの精神は決して日本の発達にとって根本的な効能のあったものでないことが判る。而も今日、夫が何か大いに役に立ちそうに益々祭り上げられつつあるとすれば、恐らく刹那的で末梢的な効能をねらってのことであると断ぜざるを得ない。だから今日の教学的精神が如何にクルしいものであるかを思わねばならぬ。――だがかつて教学的精神の栄えた土地は概して東洋であり、古代印度と古代以来近世までに至る支那大陸である。之は何かの意味に於けるアジア的イデオロギーであろう。で今日、東洋的精神乃至日本的精神の伝統に於ける反科学的精神に基く残滓は、終局に於てこの教学の精神にまで追いつめられて行くだろう。