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れっきょうかんしのちゅうしんにあるにほん
列強環視の中心に在る日本
大隈 重信
線上閱讀大隈 重信《列強環視の中心に在る日本(れっきょうかんしのちゅうしんにあるにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,124 字 · 10 頁
勿論、これは仮設的の一貴公子の話で、直ちにカイゼルその人をいったものではないけれども、プリンス博士がこれはカイゼルに当篏っているというが如く、我輩もまたカイゼルのかくの如き人物なるべきを想っている。このカイゼルによって舵を取られた独逸の国策であるから、その道を誤ってついに今日の如き窮境に立ち至った事も已むを得ぬのであるが、しかし、彼等国民は今度の大戦に依て必ずや一大教訓を得たるべく、これよりその国策を改めなければならぬ事と信ずる。我輩は永久の平和を以て理想とするが故に、かくの如き傲慢不遜、他を卑しくする独逸の心的態度を厭う。我が日本民族は平和を愛し、人道を尊ぶ国民である。それ故に、決して自ら好んで他国を侵略し、いわゆる汎蒙古主義の下に一大帝国を建設せんと欲するが如きものでない。独人と想わるる無名の著者は、畢竟、自己の心を以て他を忖度したのである。しかしながら、邦人自ら知らずして他よりかくの如く猜視され、かくの如き色眼鏡を以て注目されおる事は、吾人にとりて甚だ危険である。これ吾人の大いに戒心を要する点であると信ずる。これを要するに、国民は、我が日本が今や列強環視の中心に在るということを忘れてはならぬのである。