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しょや
初夜
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《初夜(しょや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 頁
「それではとうとう道楽ができなくて、彼に軽蔑されたことも知っているでしょう」
「はい」と桃世が答えた。
「貴女はどうです、やっぱり軽蔑しますか」
「いいえ」と桃世は赤くなりながら答えた、「――うれしゅうございましたわ」
「それは有難い」
代二郎はそう云いかけて振向いた。家扶の小泉専之丞が入って来た。彼は家士たちを遣ってようすをさぐらせたのだろう、そこへ膝をついて家士たちの報告を伝えた。――それによると、除村では門をひらいて竹矢来を結い、すでに三十人ほど集まっているし、なおあとから駆けつける者が絶えない。また老臣重職のうち染谷靱負、岡安益左衛門の二人は登城したが、他の人たちは門を閉めて、屋敷にひきこもったまま出ない。ということであった。
「よし、わかった」代二郎は桃世から扇子を受取りながら家扶に云った、「――私は登城するから、誰も外へ出さないように頼む」
そして彼は玄関へ出ていった。茂登女は来なかったが、桃世が式台まで送って出た。代二郎は刀を差しながら桃世を見た。桃世の眼は涙ぐんでいるように見えた。彼はその眼に笑いかけながら云った。
「心配しなくてもいいよ」
そして静かに履物をはいた。