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しょや
初夜
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《初夜(しょや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 頁
決断のたまものだと思いますがね」
「それはあなたのお道理です、わたくしは道理を申してはおりません」
そのとき向うの暗がりで声がした。
「そうだ、おまえの云うとおりだ」
三人は声のしたほうへ振向いた。すると、光りの中へ一人の僧が現われ、苦笑しながらこっちへ来た。それは頭をまるめ法衣を着た、僧形の除村久良馬であった。
「まあ」いつきが叫んだ、「あなた――」
彼女は殆んどとびあがって、抱いている市松を危うく落しそうになった。
「おまえの云うとおり、脇屋は文弱だからおれたち夫婦の気持などはわかりゃしない」久良馬は近づいて来ながら云った、「――これを見てくれ、彼は斬り死にをさせなかったばかりでなく、おれをこんな姿に化けさせてしまったぞ」
いつきは茫然として、口をあけ、肩で息をしながら、またたきもせずに良人をみつめていた。久良馬はそこへ坐り、これも吃驚してなにも云えない桃世に向って、さも軽蔑に耐えないというように、法衣の袖を摘んでみせた。
「もっと云ってやれ、いつき」と久良馬は続けた、「――脇屋は文弱なだけではない、むしろ悪知恵に長けたやつだ、悪知恵に長けたうえに、あのどたんばでこんな策略をして、平気でいるという不敵なやつだ、おれが許すから云いたいだけのことを云ってやれ」