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ほくとちょう

北斗帖

違星 北斗

線上閱讀違星 北斗《北斗帖(ほくとちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,108 字 · 9 頁

青空文庫

男になったよと

漁場の便り友に知らせる

此の頃の私の元気見てお呉れ

手首つかめば少し肥えたよ

仕事から仕事追い行く北海の

荒くれ男俺もその一人

雪よ飛べ風よ刺せ何 北海の

男児の胆を錬るは此の時

ホロベツの浜のハマナシ咲き匂い

イサンの山の遠くかすめる

沙流川は昨日の雨で水濁り

コタンの昔囁きつ行く

平取はアイヌの旧都懐しみ

義経神社で尺八を吹く

尺八で追分節を吹き流し

平取橋の長きを渡る

崩御の報二日も経ってやっと聞く

此の山中のコタンの驚き

諒闇の正月なれば喪旗を吹く

風も力のなき如く見ゆ

勅題も今は悲しき極みなれ

昭和二年の淋しき正月

秋の夜の雨もる音に目をさまし

寝床片寄せ樽を置きけり

貧乏を芝居の様に思ったり

病気を歌に詠んで忘れる

一雨は淋しさを呼び一雨は

寒さ招くか蝦夷の九月は

尺八を吹けばコタンの子供達

珍しそうに聞いて居るなり

病よし悲しみ苦しみそれもよし

いっそ死んだがよしとも思う

若しも今病気で死んで了ったら

私はいゝが父に気の毒

恩師から慰められて涙ぐみ

そのまゝ拝む今日のお便り

俳句

浮氷鴎が乗って流れけり

春めいて何やら嬉し山の里

大漁の旗そのまゝに春の夜

春浅き鰊の浦や雪五尺

鰊舟の囲ほぐしや春浅し