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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《十二神貝十郎手柄話(オチフルイかいじゅうろうてがらばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 127,035 字 · 254 頁

青空文庫

その陸地はチブロン島の南の側に当たっていた。

その断崖は岩で畳まれ、諸所に欝蒼と大木が繁り、上りも下りも出来そうもないほど、険しい様子を備えていたが、しかしどことなく人工的であった。

この人工的の断崖の下の、深い深い海上で浮き岩が衝突り合っているのであった。

ここまで翔けて来た一本足の烏は、この時にわかに千切れるように幾度も幾度も啼き声を立てたが、スーッと低く舞い下がって来た。おや! と思う暇もなく、断崖の裾まで下り切ると、フッと姿が消えてしまった。

二十九

「やッしまった、烏が消えた!」ジョンは驚いて叫び声を上げた。

「まあ待ちたまえ、考えがある」

日出夫少年は腕を組み何やらじっと考えこんだが、

「ねえ、ジョン君、こう思うのだよ、理由なしに烏が消える筈がない。消えるには消えるだけの理由があろう。いや理由がなければならないとね」

「ああ、そうとも、理由がなければならない」

「で、僕は思うのだがね、あの断崖の裾の辺に、何か秘密があるのだろうとね」

「ああなるほど、そうかもしれないね」

「恐らく洞窟でもあるのだろう」

「ああなるほど、そうかもしれないね」