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じゅうはちじょうおつ

十八条乙

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《十八条乙(じゅうはちじょうおつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,127 字 · 26 頁

青空文庫

伊原は絶えず戸外の物音に耳をすませていて、なにか聞きとめると、反射的に神経を緊張させ、眼をぎらぎら光らせた。

「御政道のため或る男を斬ろうとして失敗した」と伊原は告げた、「だがなにもきかないでくれ、西条にはかかわりのないことだし、事情を知らなければ紛争にも巻きこまれずに済む、佐野を――いや或る人物を斬ろうとしたと云ったことも、この場かぎり忘れてもらいたい、わかったな」

「しかし、これからどうするつもりだ」

「ようすをみて江戸へゆく、おれはここで捕えられたり死んだりするわけにはいかないんだ、おれは大事なからだなんだ」そう云って彼は庄兵衛を見、あやを見た、「おれが江戸へぬけだせればよし、さもなければ取返しのつかないことになるだろう、ことによると、――いや、口でこんなことを云ってもしようがない、ただどうかおれが江戸へ脱出できるように力をかしてくれ」

「傷に障るといけません、もうお話はなさいますな」とあやが云った、「少しでもお眠りになるほうがようございます、わたくしたちでなにかよい方法を考えますから」

伊原を庄兵衛の寝間に寝かせ、二人はあやの寝間へはいった。それから殆んど眠らずに、伊原を脱出させる相談をし、外が白みはじめたのに気づくと、下男の加助を松屋町へやって、笈川老医に往診を頼んだ。