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ちよがみのはる

千代紙の春

小川 未明

線上閱讀小川 未明《千代紙の春(ちよがみのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 4,985 字 · 11 頁

青空文庫

このごろは、体が悪いので学校を休んで、医者にかかっていました。けれどなかなか昔のように元気よく、快くなおりませんでした。そして、美代子さんは、毎日、ねたり起きたりしていました。起きているときは、お人形の着物を縫ったり、また、雑誌を読んだり、絵本を見たりしていましたけれど、もとのように、お友だちと活発に、外へ出て駆けたりして遊ぶようなことはなかったのです。

美代子さんのお母さんや、お父さんばかりでありませんでした。心配をしたのは、家じゅうのものでありました。

「ほんとうに、あの子の病気は、なぜなおらないのだろうか?」と、おばあさんは、いつもそのことを思いながら、つえをついて歩いて、橋のたもとにきかかったのです。

「さあ、こいをまけておきますから、買っていってください。」と、おじいさんはいっていました。

おじいさんは、早くこいを売って家へ帰りたいと思いました。家には、二人の孫が、おじいさんの帰るのを待っていたからです。おじいさんの家は貧乏でした。そして、おじいさんが、こうしてこいを売って金にして帰らなければ、みんなは楽しく、夕飯を食べることもできなかったのであります。