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ちはやかんのめいろ

千早館の迷路

海野 十三

線上閱讀海野 十三《千早館の迷路(ちはやかんのめいろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,829 字 · 50 頁

青空文庫

しかもその金魚というのが、珍らしく白と紫の斑のものばかりだった。

なお、右側の壁だけには、金魚槽の上が深く引込んで横に細長い棚のようになっており、その中によく磨かれたプロペラのようなものが嵌まっていた。だがそれはプロペラではないようで、中心軸はあったが、翼にあたるところはプロペラのように波状をなしておらず、真直に平面的に伸びていた。よく磁針にそういう形をしたものがあるが、もちろんこれは非常に大きく、長さが六七尺もあった。

(一体何だろうか、これは……)

帆村には、すぐにこの妙な物品の正体が分らなかった。このプロペラの兄弟分のようなものは、その細長い棚の中にじっとひそんでいて、動き出す様子はなかった。

奇妙なものは、まだ外にもあった。この横丁は、奥で壁につきあたり、そこから通路は左右に分れていたが、その正面突当りの壁が真赤に塗られていることだった。その壁には煉瓦が見えなかった。煉瓦の上に漆喰を塗り、更にその上に赤いペンキを塗ったものらしかった。

もう一つ奇妙なことは、その正面の赤い壁が、よく見ると扉になっていた。扉の枠が白いペンキで区劃をつけてあるし、引手もついていた。