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はんとういっきしょう
半島一奇抄
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《半島一奇抄(はんとういっきしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,324 字 · 27 頁
やあい、そこへ遁げたい……泳いでらい、畜生々々。わんぱくが、四五人ばらばらと、畠の縁へ両方から、向う岸へ立ちました。
――鼠じゃ……鼠じゃ、畜生めが――
と居士がはじめて言ったのです。ばしゃんばしゃん、氷柱のように水が刎ねる、小児たちは続けさまに石を打った。この騒ぎに、植木屋も三人ばかり、ずッと来て、泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ……と感に堪えて見ている。
見事なものです。実際巧に泳ぐ。が、およそ中流の処を乗切れない。向って前へ礫が落ちると、すっと引く。横へ飛ぶと、かわして避ける。避けつつ渡るのですから間がありました。はじめは首だけ浮いたのですが、礫を避けるはずみに飛んで浮くのが見えた時は可恐い兀斑の大鼠で。畜生め、若い時は、一手、手裏剣も心得たぞ――とニヤニヤと笑いながら、居士が石を取って狙ったんです。小児の手からは、やや着弾距離を脱して、八方こっちへ近づいた処を、居士が三度続けて打った。二度とも沈んで、鼠の形が水面から見えなくなっては、二度とも、むくむくと浮いて出て、澄ましてまた水を切りましたがね、あたった! と思う三度の時には、もう沈んだきり、それきりまるで見えなくなる。