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はんとういっきしょう
半島一奇抄
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《半島一奇抄(はんとういっきしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,324 字 · 27 頁
すぐに近間の山寺へ――浜方一同から預ける事にしました。が、三日も経たないのに、寺から世話人に返して来ました。預った夜から、いままでに覚えない、凄じい鼠の荒れ方で、何と、昼も騒ぐ。……(困りましたよ、これも、あなたのお話について言うようですが)それが皆その像を狙うので、人手は足りず、お守をしかねると言うのです。猫を紙袋に入れて、ちょいとつけばニャンと鳴かせる、山寺の和尚さんも、鼠には困った。あと、二度までも近在の寺に頼んだが、そのいずれからも返して来ます。おなじく鼠が掛るので。……ところが、最初の山寺でもそうだったと申しますが、鼠が女像の足を狙う。……朝顔を噛むようだ。……唯今でも皆がそう言うのでございますがな、これが変です。足を狙うのが、朝顔を噛むようだ。爪さきが薄く白いというのか、裳、褄、裾が、瑠璃、青、紅だのという心か、その辺が判明いたしません。承った処では、居士だと、牡丹のおひたしで、鼠は朝顔のさしみですかな。いや、お話がおくれましたが、端初から、あなた――美しい像は、跣足だ。跣足が痛わしい、お最惜い……と、てんでに申すんですが、御神体は格段……お仏像は靴を召さないのが多いようで、誰もそれを怪まないのに、今度の像に限って、おまけに、素足とも言わない、跣足がお痛わしい――何となく漂泊流離の境遇、落ち