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なんとうをおもいて

南嶋を思いて

新村 出

線上閱讀新村 出《南嶋を思いて(なんとうをおもいて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,941 字 · 14 頁

青空文庫

最近代我国に於て一、二内外の学徒の先島方言の古音を保存することを述べたのも極めて断片的に止まった。伊波君の琉球語の掛結を論じ、波行古音Pたる考に一歩を進めたのも、主として極南諸島の言語調査の結果から来ている。

二島の土人が沖縄本島の国頭地方の住民と共に花をパナ、葉をパー、羽をパニ、帆をプーと発音すること、これらのある地方にては、大を(3)ウプ(本島ではウフ、国語のオホ)といい、「吸ふ」をスプユンということが、波行古音考に有力なる証拠を供したのみならず、二島の中にもPばかりが行われずに、既にFをもある場合には発音していること、また首里大島の如く本土の文化に接して開けた地方にてはFとHとが並び行われることなどは、言語変遷史上の一縮図として極めて面白い事実である。PからFへ、FからHへと国語がこの二千年間に進んだものが、現在南島に縮写されていることは、伊波君の記述によっても益明かになり来った。著者は更に進んで『中山伝信録』に収めてある琉球の単語を捉えてその波行音の文字にHFP三音があらわされていることを述べて、沖縄に於ける波行音変遷の過程の一端を示された。