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なんきょくき

南極記

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《南極記(なんきょくき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,753 字 · 35 頁

青空文庫

その濃霧の幕の中へ、三人、五人、八人、十二人――それに犬や橇の列が、神秘な、なにものかに憑かれたように、苦しみ、悶えながら、やむにやまれず突入して行く――そして、永久に誰もそこから帰って来ない……

極地の探検がはじまって以来、この百五十年の間に、さまざまな悲劇があった。北極には、フランクリン探検隊の謎のような消滅とグリーリー探検隊の惨澹たる遭難があった。フランクリンの一行は、一八四八年の夏、パフィン湾からランカスター海峡を越えたらしいところで消息が絶えてしまった。その後、十年にわたって、カナダの北岸に散布している多島海を、幾十隻かの救助船や捜査船が探してまわったが、一つも確実な消息が得られなかった。十九世紀の末になって、キング・ウィリアム島の海岸に土着しているエスキモーの言伝いによって、フランクリンの一行がこの辺まで辿り着いたことだけは、おぼろげに察しられたが、詳細は、いまなお依然として不明のままである。

グリーリーの一行は、一八八一年にグリーン・ランドへ探検に行った。引揚船に見捨てられ、サビーン岬の近くに天幕を張って冬越しをはじめたが、寒気と饑餓でつぎつぎに倒れ、四年目の春になって救援隊が到着したときには、二十三人のうち、グリーリーと六人の隊員だけが生残り、埋葬もしていない仲間の屍の間で、人間の影にすぎ